運命のような数々の奇跡!
昨日、現広島東洋カープの英雄「新井貴浩選手」が現役を退くと報じられました。
先日ウエスタンリーグのカープ観戦の勝利で、余韻に浸っている中でのこのニュースなので、余計にショックではありましたが、その分思い起こす感情も大きかったです。
仲間を想う最強の兄貴
新井さんといえば、弟想いの情の深いお兄ちゃんというイメージがありますが、ある出来事にその一端を垣間見ることが出来ます。
あれは昨年の交流戦の事でしたが、どうしてもチームの層が厚い為仕方ないですが、チーム事情によって、好成績を残している若手に2軍降格が告げられました。
そんな時放った一言が耳から離れません。
「なぜ彼じゃないといけないんですか?頑張ってる彼を落とすくらいなら、僕を落として下さい!!」。
普通人間の感情であればなかなか言えることではありません。なぜなら家族がいるからです。
家族の生活を支えていくのは責任感が伴います。ましてやプロ野球の世界は競争社会なので、他人の事を考えていたらたちまち自分の席は奪われ、家計を救う収入源は減ってしまうかもしれません。
けどこの人は、目の前に苦しんでいる人がいればほっておけないのでしょう。家族やチームメイト・ファン・球団職員全ての人に対して、このスタンスは変わらないはずです。
常に周りの人の心情を想いやり、さりげなく行動出来る。こういったところから周りに活気を与え、同時に人の心を和ませる人格が形成されたのだと思います。
通りでチームメイトに愛されるはずです。
「人間の本質はこうだこうあるべきだ」と理想を示してくれた新井さんには、男からしても惚れてしまいました。
涙を乗り越えたからこそ今がある
フリーエージェントで阪神タイガースに移籍した時は、悲しみと絶望感で一杯になりました。大好きな選手だったからです。
「大好きなカープなのに、なぜ......」。
整理出来ない感情から、当時は心に穴がぽっかり開いていました。
でも今は、優勝の味を知っているからこそ理解出来ます。選手生命は人生のほんのひとコマ、後悔したくないのはあると思います。
「大好きな場所を離れてでも新しいスタートを切りたい」。
自分も経験ありますが、あの時の涙はそんな複雑な想いからあふれたのでしょう。
あの苦しみが新井さんにも自分にもなかったら、優勝の喜びも今のようなさみしい気持ちもなかったかもしれないです。本当に最後に広島でピリオドを打てて良かったです。
崖っぷちからの奇跡
新井さんを知ったのはホームラン王をとった前年度です。父から教えてもらった為か、当初は「どんなに練習しても上達しない、落ちこぼれ」という印象しかありませんでした。
試合を見るとまさにその通りでした。無様な三振に、雑なプレーの数々。VTRが流れるたびに目を覆いたくなる現実がそこにはありました。
心ないやじも矢継ぎ早に浴びせられます。こちらも耳を伏せたくなる言葉の暴力。首位打者の嶋重信とホームラン王のラロッカに隠れて、見る影もありませんでした。
そんな彼が生まれ変わったのが翌年2005年のことです。その時はチームは低迷していたので、開幕戦で彼がホームランを打っても「どうせまたまぐれだろうな」と気にも留めなかったです。
それがあれよあれよという間に、ホームランを量産していくのだからドラマみたいな感覚でした。
1度地獄を見た新井さんだからこそなせる業といえば聞こえはいいですが、その裏では死にそうな努力を人の何倍もしたそうです。
この年一気にブレイクを果たし、最下位チームの一筋の希望となりました。
ブレイクの流れから彼の人柄を知り、大ファンになったわけですが、しまなみ球場で見せてくれた輝かしいアーチは忘れません。病気と闘う原動力になったのは間違いないです。
最後に
現在もカープだけじゃなく、阪神にも感謝の念を忘れないそうですが、こういった細やかな行為がたくさんのドラマにつながっていると思います。
いつもいいモノを届けてくれた新井さんには「主演男優賞」を、いや、「アカデミー賞」を送りたいです。
まだ試合は続きますが、長い間ありがとうございました!!
※フリーエージェント: