京Pブログ

「重い障害があっても挑戦したい」難病の人たちのそんな想いに少しでも手助けになるよう、自身の体験談等をお伝えできればと思います。

移動支援からみえる深刻な現実

 先日知り合いが移動支援のことで悩みこんでいたので、調べていました。

 以前気になっていたことなので、気になっていました。

 

 今は気管切開でヘルパーさんと外出することはできなくなりましたが、以前は福祉施設の通所に移動支援を利用していました。

 

本来ならば通所に移動支援は利用できませんが、他に有効な移動手段がないために特別に許可を受けていたと思います。

 

 自分の行きたい福祉施設は遠いところでしたので、通うのが大変でした。

莫大な交通費が年金を圧迫したからです。

 

町からの補助はごくわずか。町が財政難なのは仕方がないですが、利用者本人にとって生活に関わる切実な問題でした。

 

 ヘルパーさんも相当神経をすり減らされたことでしょう。

 

 ヘルパーさんは原則医療行為はできません。研修を受けた方はまだしも事業所の事情で研修の時間がとれないところもあります。

 

利用者の人数に対してヘルパーさんの人数が不足しているとなかなか研修の時間がとれないようです。

 

医療行為ができないと、「もし何かあった場合どうしよう」と不安になります。増してやヘルパーさんは医療の専門ではないので、その恐怖や精神的なストレスは計り知れません。

 

遠方にも関わらず、重度の筋ジストロフィーでも、自分の移動に付き合っていただいたヘルパーさん方には頭が上がらないです。とてもありがたい経験ができました。

 

 移動支援は主に通所で利用していました。片道利用でヘルパーさんが帰る交通費は負担していませんでした。

 

負担しなくていいのは助かりましたが、利用者のいない時間の交通費が支払われないもしくは事業所負担なのは気にかかりました。これは事業所によって色々みたいです。

 

 車の移動は乗っているだけで心身ともに相当な負担です。利用者の見守りや介助が重なると大変なことです。

 

 ということから、ヘルパーさんの仕事はあまりにも過酷なものだと分かりました。

f:id:kyopeenohikari:20180724183707j:plain
 ここからが本題です。

 

 調べていて驚いたのは、事業所に支払われる報酬単価が移動支援において低額なことです。このため、ヘルパーさんの給料も減ってしまいます。

 

 先程述べましたが、自分のように遠方に行きたい人もいれば、近場に行きたい人と色々です。場所も町内から県外まで幅広く、ヘルパーさんの行ったことのない場所もたくさんあります。

 

 ヘルパーさんも行ったことのない場所であれば下調べをしなくてはなりません。情報収集から下見にかかる費用もかなりかかると思われます。

 

 利用者の体調不良や天候次第でキャンセルもあります。突然のキャンセルであれば、その時間に変わりの仕事があるとは限らず、全てが計画通りに行くわけがないです。

 

 事業所の負担も大きいです。給料の他に交通費、帰りの手当等を支払っているところもあるので、報酬単価が低いことが影響すればどうしても経営が厳しくなります。

 

もし、交通費が支払われないとなると全てヘルパーさん負担です。これだけでも精神的負担なのに、利用者の好みに合わせないといけないのはしんどいです。

 

行き先、交通手段、飲食店いずれも決定権は利用者にあります。いくら仕事でも楽しそうに見えても、他人の外出に付き合うのはストレス半端ないと思います。

 

車の移動も待機時間をやり過ごすのも疲れは大きいわけで、この上給料が低く交通費が支払われないとなるとやる気が失せますよね。

 

せっかく魅力的な仕事を見つけたのに、経済的な理由で魅力が色あせて辞めるほうに向かっていく。とても悲しいことです。

 

キャンセル料を利用者からもらっている事業所もありますが、このままでは事業所もヘルパーも安定した収入にはつながりません。

 

 仕事相応の給料と手当の支給をしなくてはモチベーションが下がります。最近ヘルパーさんの不足が問題ですが、それもあると思います。

 

事業所も支給したくても満足に支給できないと心苦しいのではないでしょうか?

 

モチベーションは大切な要素です。これを維持できる環境をつくることでサービスの質低下も防げるかもしれません。

 

 今後ヘルパー離れが進み、事業所も経営が苦しくなると利用できる事業所が少なくなると思います。

 

 利用者の生活もヘルパーさんの生活も安定したサービスの提供から成り立っています。その実情・現場の問題をしっかり見極めた上で国も県も対応していただきたいです。

 

 

※移動支援:https://kotobank.jp/word/%E7%A7%BB%E5%8B%95%E6%94%AF%E6%8F%B4-1737743「コトバンク」

 

※障害者総合支援法:https://kotobank.jp/word/%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E7%B7%8F%E5%90%88%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%B3%95-678302「コトバンク」

 

※報酬単価:利用者にサービスを提供した見返りに、事業所に支払われる報酬が、サービスを提供した時間から換算した単価を元に決まります。これがヘルパーの給料に直結します。