京Pブログ

「重い障害があっても挑戦したい」難病の人たちのそんな想いに少しでも手助けになるよう、自身の体験談等をお伝えできればと思います。

日常のありがたさと災害マニュアルの危うさ

 気象庁は今日梅雨明けと発表しました。長いゲリラ豪雨から解放されたと同時に命が助かったという安堵感から、1日の大切さが身に沁みます。

 

 今回の豪雨災害でたくさんの人が亡くなりました。中には家族全員を失われた方もおり、心情を察すると非常に心苦しいです。

 

未だに行方不明者もいる状況で、孤立した場所も多く、ライフラインは行き届いていません。

 

僕の住んでいる地域でも大きな影響がありました。まず道路が寸断されモノが届かない届けられないという問題です。

 

 うちは農家なので、荷造りした野菜を出荷しなければなりません。その為には車が必須ですが、道がふさがれていては届けることが出来ません。

 

幸い届ける場所が限定されていないので、最悪の事態は免れましたが、農家によっては難しい所もあるでしょう。

 

 度重なる豪雨で野菜がダメになる、あるいは育たなくなる問題も出てきます。家計を支える収入源がなくなると、元々儲けが少ない農家はさらに追い打ちをかけられます。

 

 スーパーの品切れにも遭いました。やはり物流が滞ればストック出来る商品が減ってしまいます。災害時は「もしものことを考えて」購入者が殺到するのも大きな要因です。

 

 各地で家が倒壊しているのも、生活に多大な影響となるでしょう。災害保険で賄うにしても大きな損失となり、家計には大変なダメージだと思います。

 

 「平和に何気なく生活出来ていたのは、モノが当たり前のようにありふれていたから」と改めて思い知らされた今回の災害。

早急に復旧されるように心からお祈りします。

 

 今回の特別警報を経験してみて思ったのは、災害マニュアルがあいまいだということです。

 

 全域に避難指示が発令された時、「真っ先に避難場所に行かなくては」、「国が指示したことに従わなければ」と思いました。

 

ですが、家族と話していざ冷静になってみると、「避難所が果たして安全なのか」という判断から、家の2階で退避することに。

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 前々回で書いたと思いますが、自宅は少し離れた所に川があり、川の水は下流に向かって流れて行きます。

 

川の方向と角度のおかげで、今まで家の浸水はありません。今回の豪雨でも浸水はなかった為、流されることはないようです。

 

山までも距離があります。今まで生きて来て家が危険にさらされた経験はないです。今回の災害でも土砂崩れは起きませんでした。

 

一方避難所といえば、全てうちより低い場所にあったり、下流にあったりと悪条件が重なっています。しかも平地に川が近いとなれば考えものです。

家と比べてどっちが不利か?自分で比較すると答えが出ました。

 

 マニュアルには「障害者は福祉避難所でケアしましょう」とありますが、いったいどれくらいの人が知っているでしょうか?

 

また障害にも色々あるので、福祉避難所としてひとくくりにするのは強引です。これでは普通の避難所と変わりがありません。

 

 仮に普通の避難所で筋ジストロフィーの人が過ごすとして、例を挙げると、

 

①常に介助が必要な為、支援者が必要ですが、家族もヘルパーさんも被災の疲れがあります。

 

②プライバシーは大きなストレスです。介助する側される側も人の目があるのはしんどいもの。当事者がトイレや着替え等に気をつかうのも疲れます。おまけに限られたスペースの中で、隠せないのは精神的にきついです。

 

③ベッドがないと安眠出来ません。変形が強い筋ジス患者は柔らかい所で安定した姿勢にならないと、体が痛くなってしまいます。

敷布団を床の上に敷いて転げるなんぞ痛くて耐えられません!

 

④避難所での熱中症も大変な問題です。体が動かない人は熱がこもりやすいので、暑い場所だと余計に熱中症の危険が高まります。

今回の災害でも、高齢者の熱中症があると耳にしました。 

 

➄なら病院はどうか?ですが、被災で病院事態が機能しないと元も子もないでしょう!転院するにしても移動手段がないと話にならないです。

 

 このように筋ジストロフィー患者にはデリケートな問題が数多くあります。

 

 ある記事では知的障害者のことが書いてありました。

 

「日常とは異なる環境を受け入れられないこと・ルール通りに行動出来ないことがある状況下で、マニュアルに従っても裏切られた」と。

意外と頼りにならない災害マニュアルの“落とし穴”

出典元:意外と頼りにならない災害マニュアルの“落とし穴” : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 1/5

 

 

 障害者は特性もニーズも様々。それを踏まえた上で避難所を整備していかなければ、「真にみんなの安心できる空間にはならない」と思います。

 

 僕ら個人に避難するように丸投げされても、専門家ではないので限界があります。障害者も大雨の暗闇の中で、避難するのは危険がつきまといます。

 

もし、国が本気で国民を守ろうと思うなら、専門家が家を一軒ずつ訪れて「家の状況はどうか」「住民の状態はどうか」「土地の条件はどうか」等調査し、指導する体制をつくるべきです。

 

 なにはともあれ、家族と過ごせることはこの上ない幸せです。

 

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※福祉避難所:https://kotobank.jp/word/%E7%A6%8F%E7%A5%89%E9%81%BF%E9%9B%A3%E6%89%80-891730「コトバンク」